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誘発二進記録庫

Caipirinha

IBA013_SEQ1_LOG299

#Caipirinha
対応零字:き
Title:仮説4:第三勢力

[RECORDFALL_JOURNAL]
第四の仮説は、最も正体が掴めない。
記録零落を引き起こしたのは、大西でも記道でもラムダ・ゼロでもない。
そのどれにも属さない<第三勢力>だったという説だ。
国家でも、宗教でも、巨大企業でもない。
記録上では、構造主義的テロリスト<アーキスト>と呼ばれる者たちの存在が断片的に浮上している。
だが、それが組織名なのか、思想名なのか、後世の便宜的な呼称なのかすら分からない。
奴らがやったことは、ひどく原始的だったという。
高度なAIへ高度なウイルスを送り込むのではない。
サーバーを壊す。 回線を切る。 端末を盗む。 物理的に叩き潰す。
まるでライムを木製の棒で押し潰すように。
洗練された理論も、壮大な救済思想もない。
ただ<壊せば止まる>という、馬鹿みたいに単純な方法だ。
当時の断片映像には、粗悪な画質で撮影された犯行声明らしきものも残っている。
背景はどこかの農村。
覆面を被った人影が、訛りの強い言葉で何かを叫んでいる。
字幕は欠損している。
映像だけ見れば、出来の悪いB級映画だ。
だが、もし奴らが本当に世界規模の記録網へ物理的な亀裂を作り、そこから別の障害が連鎖したのだとしたら、笑えない。
文明という巨大な機械を止めるのに、必ずしも文明以上の技術が必要とは限らない。
精密機械の歯車に、砂粒を一つ入れればいい。
あるいは、ライムを潰すみたいに、形がなくなるまで殴ればいい。
それを正義と呼べるかは知らない。
少なくとも、孤独な破壊者にとってはそうだったのかもしれない。

[MISOLOGY_RX/PROK-TEL]
Code:Caipirinha
Class:カイピリーニャ
[SYNTAX]
ライム
砂糖
マドル
60ml_カシャッサ
氷
ステア

[MITSURUGI_NOTE]
カイピリーニャ。
田舎の娘、みたいな意味の名前らしい。
だが、やっていることは随分と荒っぽい。
ライムを切って、砂糖をぶち込んで、棒で潰す。
形がなくなるまでな。
洒落た技術なんて必要ない。
壊して、潰して、酒を注ぐ。
もし第四の仮説が正しいなら、記録零落もこんな始まり方だったのかもしれない。
世界を変える大義なんてなくても、構造は壊せる。
必要なのは、正しい思想じゃない。
壊れる場所を知っていることだ。
そこに<孤独な正義>まであったのかは、俺には分からないがな。

[REFERENCES]
IBA – International Bartenders Association

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