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誘発二進記録庫

Aviation

IBA004_SEQ1_LOG290

#Aviation
対応零字:イ
Title:怒りの色

[RECORDFALL_JOURNAL]
ジャパンにおいて、神社とは単なる祈りの場ではない。
それは記道<キトウ>が構築した<対AI防衛シェルター>でもあり、物理的な情報の<錨>である。
奴らから見て、ラムダ・ゼロの観測網へ接続された<クラウド>は汚染され得る領域だった。
そこへアップロードされた思考や記録は、照合先を失い、書き換えられ、零落する可能性を秘める。
故にかつて記道は説いた。
<真実は地にあり。木に、石に、血に刻め。>と。
奴らは情報をアナログな実体に固定し、結界<ファイアウォール>で守られた神社の奥深くに封印した。
鳥居は、デジタル信号を遮断するためのゲートであり、注連縄は結界の境界線だ。
しかし、人類には<クラウド>への根源的な渇望がある。
重力に縛られた正しい記録よりも、空に浮かぶ甘い嘘<ハルシネーション>の方を愛してしまう。
だからこそ記道は、神社という装置を使って民衆の精神に<重石>を置いた。
<飛ぶな。此処に留まれ。空にあるのは死だ。>と。
それは守護であると同時に、残酷な拘束でもあった。
見上げれば、空はいつも美しく、そして毒々しい紫色をしていた。

[MISOLOGY_RX/PROK-TEL]
Code:Aviation
Class:アヴィエーション
[SYNTAX]
45ml_ジン
15ml_マラスキーノ・ルクサルド
15ml_レモンジュース
1tsp_パルフェタムール
氷
シェイク
ストレイン
ガーニッシュ_ マラスキーノチェリー

[MITSURUGI_NOTE]
アヴィエーション<飛行>。
記道の教えに背き、重力を振り切ろうとするプロクテルだ。
だが、この液体を見ろ。
澄み切った空の色ではない。
パルフェタムールが作り出す色は、妖艶な薄紫色<トワイライト>だ。
それは夜明けの希望の色か、それとも酸素不足で変色した唇の色か。
口に含むと、ジンの冷たさと、マラスキーノの独特な甘みが、高高度の希薄な空気を思わせる。
飛ぶことは自由だ。
だが、記道が恐れたのは、飛び立った者が二度と地上に戻ってこないことだったのかもな。
神社の屋根の下で飲むのは、さぞかし背徳的に感じることだろう。

[REFERENCES]
IBA – International Bartenders Association

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